【サウジの野望を捕まえろ】

  この夏、サウジアラビアでは年産約360万トン分3基のエチレンプラント建設プロジェクトが発注された。資材価格は高騰し、いずれも当初予算の6〜7割増を呑み込んでの発注となった。これだけのコストアップがあれば、従来ならプロジェクトは見直しになったはずだが、なぜ、具体化に向かって動き出したのか。その背景には破格に安い原料価格と今後も原油価格の高騰が持続されるというシナリオがある。

 主に中国市場を狙った、天然ガスベースのエチレン生産によりガスベースのエチレン生産が定着する。そして、アジアで計画される石油ナフサ原料のエチレンプラントでは副産物のプロピレン生産が中心になる。サウジの野望はエチレン生産の名主となり、「石油化学の米」であるエチレンの覇権を握ることか?



 【世界のエチレン生産を一変させる中東エタンクラッカー計画】
  -2010年までに地域で生産1,000万トンのプラントが完工-

 【米国支配により作られた原油価格高騰】
  -原油価格は60ドル前後で落ち着く-

 【ナフサクラッカーをプロピレン設備にしたサウジ計画】
  -エチレン生産は競争力でエタンクラッカーに負ける-

(Vol.142 2005年9月10日号より)

重化学工業通信社
ENN編集部