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  プラントコストインデックス 「ENN-PCI」 2022年 第1四半期
AACE International 日本支部
ENN-PCI 委員会

1. はじめに

2022年第1四半期(1〜3月期)のプラントコストインデックスENN-PCIを算定し、2000年からの推移を図1に示した。

世界各国が実施した新型コロナウイルスのパンデミックに対する経済対策(金融緩和と財政支援)によりインフレが発生したが、ロシアのウクライナ侵攻(以下「ウクライナ危機」と表記)による資源・穀物価格の高騰がインフレに拍車をかける状態になった。

ENN-PCIも原材料費の値上がりを契機に2020年3Qから反転し今も上昇中である。

 図1 プラントコストインデックス ENN-PCI の推移


2. ENN-PCI(コスト要因)および ENN-PCI(コスト+需給要因)

ENN-PCI(コスト要因)およびENN-PCI(コスト+需給要因)の分類別指標をそれぞれ表2、表3に示す。

  ・表2 ENN-PCI(コスト要因:2000年基準)PDFをダウンロードする
  ・表3 ENN-PCI(コスト要因 + 需給要因:2000年基準)PDFをダウンロードする


  ※PDFを御覧頂くには、ENN 2022年7月25日号(Vol.514)「プラントコストインデックス ENN-PCI」
   52ページに 掲載されているユーザー名・パスワードの入力が必要になります。



3. 世界経済

IMFがウクライナ危機発生後の4月に示した実質GDPの見通しでは、全世界の実質成長率は3.6%で前年度の推計6.1%から減速した。4月以降もインフレ率は低下しておらず、予測がさらに下方修正される可能性が高い。世界経済の焦点は、ウクライナ危機の収束を見通せないまま、欧米の中央銀行のインフレ対策に移行している。米国連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は景気減速を招いてでも、利上げによりインフレを抑え込むタカ派の姿勢を鮮明にしている。

米国の経済指標は先行きの景気減速を示している。ISM製造業景気指数は53.0であり、50を上回っているものの、前月の56.1から低下し2年ぶりの低い水準となった。6月個人消費支出(PCE)は5月と同じ前年同月比6.3%増と高止まりしているが、住宅関連など他の個別指標、景況感指数の調査結果の多くは需要の減退を示している。

欧州には米国のようなインフレ率のピークアウト感さえ見えない。ユーロ圏の6月消費者物価は前年同月比8.6%上昇と史上最高を記録した。ロシアからの原油・天然ガスの段階的な輸入取り止めを目指していることからもエネルギーコストの上昇圧力は続く。

中国の6月の製造業PMIは50.2で4カ月ぶりに50を上回った。ロックダウン(都市封鎖)の解除が進んだこともあり景気は若干上向きに転じた。今年は、秋に5年に一度の共産党大会に関心を持っておきたい。景気浮揚策の実施が期待される一方で統治上の都合が経済に影響を及ぼす場合も起こり得る。


   表1 反応器類(コスト要因PCI)
                  2000年=100
   ■プラント計
 


4. 我が国の経済

経済活動の正常化に伴い、改善していくものと思われる。ただ、円安とウクライナ危機が続いているので、輸入物価には注視したい。日本のエネルギー自給率(11%)、食料自給率(37%)の抜本的な対策が急がれる。そして、ウクライナ危機により国防費増が予想され、増税に繋がり日本経済の重しになりかねない。米中経済の失速も気になる所である。


5. ENN-PCIの変動要因

ENN-PCIの変動要因は、材料費、賃金、営業利益、労働需給(有効求人倍率)で計算している。新型コロナによって停滞していたこれらの要因が回復しPCIは更に上昇した。資源価格はウクライナ危機による価格高騰の後、インフレ対策による景気後退の懸念から下落傾向に転じたが、PCIの数値にはまだ反映されていない。


6. ENN-PCIの将来予測

2021年4期以降の将来予測値を表4に示す。

今後も世界経済の構造変化により生産・流通・建設全般のコスト高は恒常化しつつある。今後、原材料価格の落ち着きはあっても、インフレは人件費に波及している。世界各地での人件費の上昇が見込まれるので、PCIは高止まりの傾向が続くと考えられる。

  表4 ENN-PCIの将来予測値                           2000年=100


  ※ AACE International は米国に本部を置く国際コストエンジニアリング推進協会
   (The Association for the Advancement of Cost Engineering International)である。
   その日本支部(略称JSCE:Japan Section of AACE International)がENN-PCI委員会を設立し
   ENN-PCIの執筆を担当する。 ご参考:
https://www.aace-japan.org/


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