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  プラントコストインデックス 「ENN-PCI」 2026年 第1四半期
AACE International 日本支部
ENN-PCI 委員会

1. はじめに

2026年第1四半期(1~3月期)のプラントコストインデックスENNPCIを算定し、2000年からの推移を図1に示した。

今期は前期比3.8ポイントの上昇となった。賃金指数は上昇を続けているものの、有効求人倍率指数は下落傾向にある。先行きについては、指数全体としての上昇トレンドに大きな変化はないと見ている。


 図1 プラントコストインデックス ENN-PCI の推移


2. 世界経済

日米欧の主要国・地域においては、中東情勢の混乱から生じたインフレの再燃により消費に力強さを欠くものの、その景況感は総じて上向きを維持している。4-6月期における各国の企業収益も半導体・AI関連の生産や設備投資を原動力として順調に増加している。

米国も消費は足踏みしているが、企業の収益は大きく伸びている。

S&P企業全体の4-6期月決算は前年同期比52%の増益となり、半導体・AI関連企業の利益率はそれも大きく上回っている。中東情勢の影響を受けて、石油、石油化学のセクターも収益を伸ばしている。一方、データセンター建設の需要は非常に大きいものの、その稼働には膨大な電力・水資源を必要とすることから建設候補地各所からの反対運動が拡がりを見せている。注意を向けておきたい点である。

中国の2026年上半期(1~6月)の輸出額は前年同期比17.6%増となった(*1)。海外に「デフレ輸出」をもたらす過剰な供給力と長期化する国内の消費低迷のアンバランスな構造はより強まっている。米国は第三国を経由する「迂回輸出」による中国製品の流入に警戒を強めており、自国への影響額の試算を公表している。両国間で通商問題での対立が再燃する恐れがある。

  (*1)中国2026年上半期輸出額
   中国海関総署(中国税関)7月14日発表:2026年上半期(1~6月)の貿易総額は
   前年同期比21.2%増の3兆6,747億ドル、輸出は17.6%増の2兆1,254億ドル



   表1 反応器類(コスト要因PCI)
                   2000年=100

  ■プラント計


3. 我が国の経済

今年の春闘は昨年並みの賃上げ率を確保し、実質賃金も1月以降、プラスで推移している。4-6月期の上場企業決算も好調な結果を示すなど経済のファンダメンタルズは向上している。一方、中東情勢の先行きが見えないため、日銀短観等の調査では、景気や自社の業績の先行きに慎重な見方が増えている。輸入原材料の高騰を通じて、国内企業物価は6月以降7%台に上昇しており、価格転嫁によるインフレ率の上振れが懸念される。

日本の長期金利が上昇している。長期金利の上昇は世界的な傾向であり、日本の積極財政への懸念だけに起因するものではないが、為替には円安方向への圧力として作用する。実質金利が依然としてマイナスであり、また、日銀の利上げが遅れる「ビハインド・ザ・カーブ(*2)」の恐れもある。但し、7月末に日米協調介入が実施されたことから、ドル円は当面の間大きな変動はなく推移すると見る。

  (*2)ビハインド・ザ・カーブ
   政策金利の利上げを実施するタイミングが遅れることで、インフレ状態をより悪化させる
   恐れを示す用語。


4. ENN-PCIの変動要因

ENN-PCI(コスト+需給要因)は254.0となり、前期から増加した。主要材料では、厚中板が0.7ポイント上昇、ステンレス板も2.9ポイント上昇した。これらを背景に、製缶機器価格は上昇した。回転機器や機械類も上昇し、電気機器類および計器類でも上昇基調が継続しており、機器費全体では3.8ポイント上昇となった。工事費は、ケーブル価格の上昇を背景に電気・計装工事が引き続き大幅上昇した。一方で、その他工事は弱含みで推移しているものの、工事全体では4.5ポイントの増加となった。

  ・表2 ENN-PCI(コスト要因)PDFをダウンロードする
  ・表3 ENN-PCI(コスト要因 + 需給要因)PDFをダウンロードする


  ※PDFを御覧頂くには、ENN 2026年9月10日号(Vol.604)「プラントコストインデックス ENN-PCI」
   52ページに掲載されているユーザー名・パスワードの入力が必要になります。



5. ENN-PCIの将来予測

鉄鉱石価格は1トン当たり95ドル近辺で推移している。また、石炭先物は、3月のイラン攻撃開始後、6月に150ドル超のピークを付けた後、8月中旬時点では130ドル前後で推移している。ニッケル価格(LME)は16,800ドル前後まで上昇したほか、銅価格もデータセンター建設の需要もあって14,500ドル前後と高値圏を維持している。今後は、中東情勢の落着きがあっても、長期的には原材料価格やエネルギー価格上昇の基調は続くと予想される。


  <脚注> AACE International は米国に本部を置く国際コストエンジニアリング推進協会
   (The Association for the Advancement of Cost Engineering International)である。
   そのAACE日本支部がENN-PCI委員会を設立し、我が国のコストインデックスとして
   ENN-PCIの執筆を担当する。 ご参考:
https://www.aace-japan.org/


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