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  プラントコストインデックス 「ENN-PCI」 2023年 第4四半期
AACE International 日本支部
ENN-PCI 委員会

1. はじめに

2023年第4四半期(10〜12月期)のプラントコストインデックスENN PCIを算定し、2000年からの推移を図1に示した。前四半期から横ばいとなった。欧米は人件費の高騰が鎮静化してきた点では共通しているが、米国の全体的な景気はまだ力強く推移しており、景況感が底打ちして間もないユーロ圏、英国と対照的な状況になっている。

 図1 プラントコストインデックス ENN-PCI の推移


2. ENN-PCI(コスト要因)および ENN-PCI(コスト+需給要因)

ENN-PCI(コスト要因)およびENN-PCI(コスト+需給要因)の分類別の指標をそれぞれ表2、表3に示す。

  ・表2 ENN-PCI(コスト要因)PDFをダウンロードする
  ・表3 ENN-PCI(コスト要因 + 需給要因)PDFをダウンロードする


  ※PDFを御覧頂くには、ENN 2024年4月25日号(Vol.552)
   「プラントコストインデックス ENN-PCI」 50ページに掲載されている
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3. 世界経済

OECDが2024年2月に発表した2024年の実質GDP成長率予測は全世界2.9%(2023年2.7%)、米国2.1%(同1.5%)、ユーロ圏0.6%(同0.9%)、日本1.0%(同1.0%)である。

米国経済はインフレ率再上昇の懸念すら伴い堅調に推移している。FRBは年初に2024年内に複数回の利下げを想定していたが、開始時期を見通せない状況になっている。一方、欧州は各国ともインフレが終息しつつあり、ECBの6月利下げは確実視されている。

中国の不動産不況はさらに深刻化している。海外からの投資も2023年は前年度比▲82%と急減した。安全
保障関係の法令*1による企業への監視や締付けが警戒されている。

CPI*2は2023年4月以降前年同月比0%前後で推移し24年3月も0.1%と低調である。一方、製造業PMI*3の景況感指数では明らかな悪化を示す兆候はないが、今後デフレの圧力が製造業にも及び、輸出品を通して海外にも波及する恐れがある。

原油は、中東とウクライナの地政学上の危機により上昇している。世界的には供給過剰の構図があるものの、地政学的危機については引き続き注視しておく必要がある。

 *1 中国安全保障の法令:中華人民共和国反間諜法(通称反スパイ法)、香港の国家安全保障条例等
 *2 CPI:消費者物価指数Consumer Price Index
 *3 PMI:購買担当者景気指数 Purchasing Manager's Index
      購買担当者を調査対象にした景気指標、国家統計局と財新(民間の経済メディア企業)
      発表のPMIを確認


   表1 反応器類(コスト要因PCI)
                   2000年=100
   ■プラント計
 


4. 我が国の経済

製造業の現状は自動車関連の不正などにより業況感が前回より悪化したが、産業界全般では、2023年後半の一時的な減速から設備投資の増加もあり、再び上向きに推移している。非製造業では先行きに慎重な見方が強まっているが、人手不足への懸念が反映されていると思われる。(2024年3月法人企業景気予測調査、日銀短観業況判断DI等)

日銀は、政策判断において重視するコアCPI*4が既に2%を上回って推移しており、春闘で予想以上の賃上げが実現したことを受けてマイナス金利を解除した。

為替は日銀の政策変更にも関わらず、円高にはなっていない。日米の金利差は直ぐには縮小に向かわないうえに貿易収支の赤字傾向、対外直接投資の収益が外貨のまま保有されることなど円高を阻む構造的要因は多い。

 *4 コアCPI:CPIから変動の大きいエネルギー・食料品を除いた物価指数


5. ENN-PCIの変動要因

ENN-PCI(コスト+需給要因)は、235.5と前四半期と変わらず横ばいとなった。主要機材の厚中板は横ばい、ステンレス板は下落傾向により、機材価格は落ち着いている。また工事についても工事材料、人件費は横ばいで落ち着いている。


6. ENN-PCIの将来予測

2023年第4四半期以降の将来予測値を表4に示す。

鉄鉱石、原料炭の先物価格は横ばい、ニッケルは底値圏で推移しているため、材料の先高観はない。また賃金は2023年は前年比1%程度の上昇であり、2024年は2%程度と予想するためENN-PCIは緩やかな下落を予想する。

但し、建設業界は働き方改革の開始や旺盛な設備投資計画により、人手不足が深刻となり工事費の高騰を招く可能性があることに注意したい。

  表4 ENN-PCIの将来予測値                           2000年=100

  ※ AACE International は米国に本部を置く国際コストエンジニアリング推進協会
   (The Association for the Advancement of Cost Engineering International)である。
   その日本支部(略称JSCE:Japan Section of AACE International)がENN-PCI委員会を設立し
   ENN-PCIの執筆を担当する。 ご参考:
https://www.aace-japan.org/


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