TOP PAGE  定期購読・サンプル申し込み
  プラントコストインデックス 「ENN-PCI」 2022年 第3四半期
AACE International 日本支部
ENN-PCI 委員会

1. はじめに

2022年第3四半期(7〜9月期)のプラントコストインデックスENN−PCIを算定し、2000年からの推移を図1に示した。2020年3Qから反転し上昇中である。

世界的にインフレが続いており、各国の中央銀行が政策金利の引上げで対応しているので景気が下押しされている。但し、米国の消費者物価の上昇は鈍化中で、欧州の物価上昇率もピークを迎えている。2023年はインフレ率の鈍化を睨みつつ景気の底を探ることになる。


 図1 プラントコストインデックス ENN-PCI の推移


2. ENN-PCI(コスト要因)および ENN-PCI(コスト+需給要因)

ENN−PCI(コスト要因)およびENN−PCI(コスト+需給要因)の分類別の指標をそれぞれ
表2、表3に示す。


  ・表2 ENN-PCI(コスト要因)PDFをダウンロードする
  ・表3 ENN-PCI(コスト要因 + 需給要因)PDFをダウンロードする


  ※PDFを御覧頂くには、ENN 2023年1月25日号(Vol.519)
   「プラントコストインデックス ENN-PCI」 54ページに 掲載されている
   ユーザー名・パスワードの入力が必要になります。



3. 世界経済

IMFが2022年10月発表の全世界の2023年の実質成長率見通しは2.7%(※世界銀行は1月に1.7%との予測を発表)であり2022年見通しの3.2%(世界銀行2.9%)を下回った。米国は1.0%で同じく2022年の1.6%より低い。ユーロ圏は0.5%で2022年の3.1%から大きく低下した。

米国は、政策金利の現行利率と利上げ打止め時の想定金利の差が縮小(現行4.5%vs 5.1%)しており、FRBは利上げの終了を視界に入れつつインフレの鎮静化を待っている。消費者物価はピークの6月の前年同月比9.1%から12月は同6.5%まで鈍化したが、インフレを持続させている人件費の高騰が収まっていく必要がある。

中国の景気は12月の製造業PMIが47.0であり3カ月連続で50を下回り低調である。一方、12月に開催された「中央経済工作会議」では、民営企業を締め付けてきた方向から民間の経済全般を振興する政策に大転換する方針が示された。実際に実行に移されていくのか今後の注目点である。なお、中国のコロナ感染は春節(旧正月)とその後数週間の推移が経済的にも大きな岐路になりそうである。


   表1 反応器類(コスト要因PCI)
                  2000年=100
   ■プラント計
 


4. 我が国の経済

IMFは我が国の成長率見通しを主要先進国の中で最も高い1.6%としているが、日銀が『超金融緩和』政策の修正(長期金利の許容幅を±0.25%から±0.5%へ)に踏み切ったことが市場から実質的な利上げと受け取られた。為替が円高に振れて輸出企業の収益を悪化させる恐れがある。また、利上げが消費意欲を減退させないために今年の春闘を契機に非組合員を含め労働者の賃金が継続的に底上げされていくことが望まれる。


5. ENN-PCIの変動要因

ENN−PCIの変動要因は、材料費、賃金、営業利益、労働需給(有効求人倍率)で計算している。

ENN−PCIは前回から5%弱上昇した。第3四半期はまだサプライチェーンの混乱と国際商品相場の高騰が続き円安進行が重なったこともあって主に鋼材等材料価格の上昇をもたらした。高騰時のエネルギー価格が電気料金に転嫁された影響も及んでいる。


6. ENN-PCIの将来予測

2022年第4四半期以降の将来予測値を表4に示す。

第3四半期の中途には鉱物資源を始め国際商品市況はピークアウトを迎え下落傾向に転じた。世界的な景気後退に加えてウクライナの戦況が同国優位に推移し始めたことも市場を落ち着かせてきた。ENN−PCIに未だ反映されていないが、タイムラグを伴いENN−PCIの上昇を押し留める要因になる。

一方、我が国では、先進国で最低水準の賃金を見直す機運が高まっている。ENN−PCIにも人件費
の部分(工事費、機器・機械類の組立費等)のコスト上昇として中長期的に影響が及んでくると見られる。


  表4 ENN-PCIの将来予測値                           2000年=100

  ※ AACE International は米国に本部を置く国際コストエンジニアリング推進協会
   (The Association for the Advancement of Cost Engineering International)である。
   その日本支部(略称JSCE:Japan Section of AACE International)がENN-PCI委員会を設立し
   ENN-PCIの執筆を担当する。 ご参考:
https://www.aace-japan.org/


  お問い合わせ

 株式会社 重化学工業通信社 営業部 TEL:03-5207-3331 faq@jkn.co.jp