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  プラントコストインデックス 「ENN-PCI」 2021年 第4四半期
AACE International 日本支部
ENN-PCI 委員会

1. はじめに

2021年第4四半期(10〜12月期)のプラントコストインデックスENN-PCIを算定し、2000年からの推移を図1に示した。

世界各国が実施した新型コロナウイルスのパンデミックに対する経済対策(金融緩和と財政支援)により過剰流動性(金余り状態)が発生しインフレにつながった。

感染自体の拡大による生産停滞と供給混乱もインフレの大きな要因である。ENN-PCIも原材料費の値上がりを契機に2020年3Qから反転し今も上昇中である。

 図1 プラントコストインデックス ENN-PCI の推移


2. ENN-PCI(コスト要因)および ENN-PCI(コスト+需給要因)

ENN-PCI(コスト要因)およびENN-PCI(コスト+需給要因)の分類別の指標をそれぞれ表2、表3に示す。今回の指標にはロシアのウクライナ侵攻(以下、「ウクライナ危機」と表記)による原材料価格の上昇は未だ反映されていない。

  ・表2 ENN-PCI(コスト要因:2000年基準)PDFをダウンロードする
  ・表3 ENN-PCI(コスト要因 + 需給要因:2000年基準)PDFをダウンロードする


  ※PDFを御覧頂くには、ENN 2022年4月25日号(Vol.508)「プラントコストインデックス ENN-PCI」
   52ページに 掲載されているユーザー名・パスワードの入力が必要になります。



3. 世界経済

IMFは、ウクライナ危機後に見通しを示した最新版を発表していない。

米国はインフレが高進している割には足元の消費は底堅いが、インフレのペースの継続とピークアウトを示す指標が交錯しており景気の先行きに対して見方が分かれている。3月下旬に、1〜2年後の景気後退を示唆する長短金利の逆転(イールドカーブの逆転)が米国債(2年債/5年債vs10年債)で発生しており注意が必要である。

欧州は天然ガスの約40%、原油の約30%をロシアからの輸入に頼っており、電気、ガス価格の高騰は企業活動と家計を圧迫しスタグフレーションの危機に直面している。

中国は2021年度通期で高い成長率を維持したが足元の景況感は若干悪化している。3月の製造業PMIは48.5で5カ月ぶりに50を下回った。感染が再拡大した場合、ゼロコロナ対策堅持の方針によりロックダウン(都市封鎖)で対応するので景気が下押しされる。

新興国は米国金利の上昇による自国通貨安と投資資金引上げの懸念に加えてエネルギー・食料価格の高騰に苦慮している。経済基盤の脆弱な国々、特に中東とアフリカの地中海沿岸諸国はウクライナから穀物輸入が滞れば食料危機と政情不安の発生を招く恐れがある。

   表1 反応器類(コスト要因PCI)
                  2000年=100
   ■プラント計
  


4. 我が国の経済

オミクロン株はBA.1株から別系統のBA.2株に急速に置き換わり感染は収束していない。以前の変異株より弱毒化しているので人々の行動への制約は限定的だが経済活動が元の水準を取り戻すには引続きの対策が必要である。


5. ENN-PCIの変動要因

ENN-PCIの変動要因は、材料費、賃金、営業利益、労働需給(有効求人倍率)で計算している。新型コロナによって停滞していたこれらの要因が回復しPCIは更に上昇した。これには脱炭素社会の推進に伴う原材料(アルミ、ニッケル、銅等)等の需要増も一因となるが、ウクライナ危機による原油・天然ガス等資源価格の高騰がPCIの上昇に拍車をかけている。


6. ENN-PCIの将来予測

2021年3期以降の将来予測値を表4に示す。

今後も世界経済の構造変化により生産・流通・建設全般のコスト高は恒常化しつつある。今後、PCIは原材料価格の落ち着きにより多少下落することはあっても、上昇もしくは高止まりの傾向が持続するものと考えられる。

  表4 ENN-PCIの将来予測値                          2000年=100

  ※ AACE International は米国に本部を置く国際コストエンジニアリング推進協会
   (The Association for the Advancement of Cost Engineering International)である。
   その日本支部(略称JSCE:Japan Section of AACE International)がENN-PCI委員会を設立し
   ENN-PCIの執筆を担当する。 ご参考:
https://www.aace-japan.org/


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