プラントコストインデックス 「ENN-PCI」 2025年 第4四半期
AACE International 日本支部
ENN-PCI 委員会 |
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2025年第4四半期(10~12月期)のプラントコストインデックスENNPCIを算定し、2000年からの推移を図1に示した。当期は第3四半期と同水準で推移した。賃金指数は上昇を続けているものの、有効求人倍率指数は下落傾向にある。先行きについては、後述のとおり、指数全体としての上昇トレンドに大きな変化はないものと見ている。
| 図1 プラントコストインデックス ENN-PCI の推移 |
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世界経済は、中東情勢により開戦前には落ち着いていた主要国の物価が一転して原油価格の高騰からインフレ懸念が再燃する状況に転じている。供給不安も原油からLNG、ナフサを原料とする石油化成品や肥料にまで拡がっている。
米国も3月から消費者物価が急上昇に転じており、政策金利(現在FF金利※1は3.75%)の利下げ期待は遠のいた。但し、米国景気の基調自体は、設備投資に偏重しているが、大変強くなりつつある。第一四半期の設備投資は前年同月比10.4%の大きな伸びとなり、今後もAI・データセンター向けの巨大な投資※2に加えて米本土のミサイル防衛を目指すゴールデンドーム計画の他、官民両方で大規模な投資計画がAI、宇宙、希少資源の確保等の分野で見込まれている。
中国の生産者物価は3月に前年同月比プラスの0.5%で3年6カ月振りにプラス圏に浮上した。消費者物価も水準は低いが7カ月連続のプラスになり傾向に変化が現れている。一方、GDPに占める民間消費の割合は、不動産不況が始まった2020年の38.6%から2025年は35.8%まで低下しており、長引く不況の根深さが窺われる。
(*1)FF金利(Federal Funds Rate)
米国の政策金利であるFF金利は、2025年12月から誘導目標は3.50%~3.75%。
(*2)米国のAI・データセンター投資(例)
2026年は、ビッグテックのAlphabet、Microsoft、Amazon、Metaの4社だけで最大7,250億
ドルの投資が見込まれている。
(*3)イラン開戦前後の輸入物価指数・企業物価指数(対前年同月比)推移
輸入物価指数:2月2.7%→3月7.9%→4月17.5%(円貨ベース)
企業物価指数:2月2.0%→3月2.6%→4月4.9%。
表1 反応器類(コスト要因PCI) 2000年=100
■プラント計
2026年になって、実質賃金は1月からプラスで推移し、物価が落ち着いたうえに今年の春闘も昨年並みの5.0%超の賃上げが見込まれるなど企業活動と景気には好材料が揃いつつあった。日銀短観、法人企業予測調査も、ともに企業の規模に関わらず引続き景気の現状を上向きとみている企業が前回調査から増えていた。残念ながら、3月から4月にかけて輸入物価と企業物価※3は急上昇しており、今後の成行きは中東情勢次第となっている。ホルムズ海峡の封鎖が解除されたとしても、暫くの間、サプライチェーンの混乱と物価への影響は続くと思われる。
為替は、GW中に為替介入が実施されたように、引続き日米の財務当局が協調的な姿勢で対応しているため、当面は現状の水準から大きく乖離せずに推移すると見る。
ENN-PCI(コスト+需給要因)は249.6となり、前期比横ばいとなった。主要材料では、厚中板が2.3ポイント下落、ステンレス板も0.4ポイント下落した。下落幅は縮小しているものの、鋼材価格の下落を背景に、製缶機器価格は引き続き下落した。一方、回転機器や機械類は上昇に転じたほか、電気機器類および計器類でも上昇基調が継続しており、機器費全体では微増となった。工事費は、ケーブル価格の上昇を背景に電気・計装工事が引き続き大幅上昇した。一方で、その他工事は弱含みで推移しており、工事全体では微減となった。
・表2 ENN-PCI(コスト要因)PDFをダウンロードする
・表3 ENN-PCI(コスト要因 + 需給要因)PDFをダウンロードする
※PDFを御覧頂くには、ENN 2026年6月10日号(Vol.599)「プラントコストインデックス ENN-PCI」
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鉄鉱石価格は1トン当たり110ドル近辺で推移している。また、石炭先物は、イラン攻撃開始後の3月に140ドル台まで上昇したものの、5月中旬時点では130ドル前後となっている。一方、ニッケル価格(LME)は18,500ドル前後まで上昇したほか、銅価格も13,500ドル前後と高値圏を維持している。背景には、精錬工程で使用される硫酸価格の高騰があると思われる。これは、ホルムズ海峡封鎖による硫黄供給の停滞に加え、中国による硫酸輸出規制の影響から、硫酸の需給が逼迫しているためと考えられる。今後のENN-PCIは原材料価格やエネルギー価格の上昇が予想されることから、堅調に推移するものと考えられる。
<脚注> AACE International は米国に本部を置く国際コストエンジニアリング推進協会
(The Association for the Advancement of Cost Engineering International)である。
そのAACE日本支部がENN-PCI委員会を設立し、我が国のコストインデックスとして
ENN-PCIの執筆を担当する。 ご参考:https://www.aace-japan.org/ |
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