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 オラクル社 シニア・ダイレクター George Haddad 氏
 プロジェクトからビジネス全体をマネージする「Primavera Unifier」
 生産性向上を実現するプロジェクト・ライフサイクル管理のための
 プラットフォーム
                      2015.4.25

 「Primavera」は世界的なプロジェクトマネジメントシステム(PMS)のデファクトスタンダードだ。 かつては、スケジュールとリソースの管理が、その役割だった。 しかし、2007年に「Primavera P6」がリリースされると、その機能はプロジェクトのみならず、ビジネス全体へと対象領域を広げた。
 さらにオラクルは、2012年のSkier社の買収に伴い、クラウドベースでプロジェクトのライフサイクル管理を行う「Unifier」を獲得、「Primavera P6」との統合を強化し「Primavera Unifier」としてリリースした。 昨年末には日本語化を終え、ビジネス・インテリジェンスを実現するソリューションのラインナップとともに日本でのソリューション拡充を展開している。
 オラクル社でPrimaveraグローバル・ビジネス・ユニットのシニア・ダイレクターを務めるGeorge Haddad氏に「Primavera」を取り巻く事業戦略について聞いた。

  George Haddad (ジョージ・ハッダッド) 氏

1987年ジョージア工科大学建築学科で学士を取得と同時に、ハーバード・ビジネス・スクールで戦略的リーダープログラムシップを修了。 オートデスクのデザインソリューション部門でシニアプロダクトマネジャーを経験した後、Citadon社、RCD (Reed Construction Data) 社を経て、2002年にSkire社に入社。 Skire社では、グローバル・ビジネス・デベロップメントと産業戦略部門担当のバイスプレジデントなどを歴任した。 2012年、オラクル社によるSkire社の買収に伴い、Oracle PrimaveraGobal Business Unitに加わり、現在、シニア・ダイレクター。 



ビジネスそのものをマネージ

ENN Primaveraは、プロジェクトマネジメントシステム(PMS)ですが、PMSの対象はかつて、スケジュールとリソースの管理でしたが、コスト、コラボレーションなどへと対象領域を広げてきました。この変化の背景には、何があったとお考えですか。

Haddad 以前から、Primaveraはスケジュールとリソースをマネジメントするソフトのデファクトスタンダードとして認知されてきました。 しかし2007年の「Primavera P6」のリリースにより、プロジェクトのみならず、ビジネスそのものをマネージするようになりました。

この頃からお客様も、プロジェクトをマネージするビジネスプロセスが重要であることに気付かれるように変わってきており、スケジュール、コスト、リソースなどを統合的にマネージすることで、現場レベルで変更の影響を捉えることに対応してきました。 こうしたことを背景に、統合型マネジメントへと機能アップを図ってきました。

ENN オラクルは、2012年にSkire社の買収により、「Unifier」を獲得しました。 これに伴い、「Primavera Unifier」として統合されました。 この意味は何ですか。

Haddad 「Primavera Unifier」は、資本計画、プロジェクト実施、コスト管理、施設/不動産管理に対応した、クラス最高のプロジェクト・ライフサイクル管理ソリューションで、計画・作成から運営・保守に至るまで、すべてのプロジェクトフェーズに渡って、ガバナンスを管理できます。

例えば、「Primavera P6」と「Unifier」を統合することで、ゼネコン側がスケジュールの遅延に伴うコストへの影響を見ることができますし、プロジェクトのオーナー側のマイルストーン管理により、スケジュールの影響がコストに対して、長期的にどのような影響があるかも管理できます。 同時に、キャッシュフローへの影響、プロジェクトの完工に関する見通し、そして将来における影響も掴むことができます。

ENN プロジェクトにより得られた資産のライフサイクルを管理することの必要性は何ですか。

Haddad 資産のライフサイクルを対象にする場合、設計・運用・メンテナンスのライフサイクルにおける、それぞれのフェーズによって、利害関係者が変わりますから、各フェーズで、異なるアクティビティやプロセスに対応する必要があります。

「Unifier」というプラットフォームを使うことで、それぞれのフェーズを一括して管理できるのですが、一括して管理することで、データがそのまま継続されるようになりますから、フェーズが終わった時に、再びデータを入力するような手間が省けます。 当然、建設が終わった時点で、メンテナンスデータを入力する必要もありません。

このような手間が省けますから、設計・開発から資産管理・メンテナンス・運用まで、一貫して管理できます。 資産が不要になるとか、取り壊しになるようのことが起こらない限り、一つのプラットフォームで管理できます。

ENN 「Primavera」では以前、EAM (企業資産管理) システムの「MAXIMO」(IBM製)と統合した資産管理を提案されていました。

Haddad 「MAXIMO」は、メンテナンスマネジメントシステムで、特に、重工系やプラント系に強いシステムです。 「Unifier」は、ビルやインフラ施設に強いソリューションですから、「MAXIMO」とは被りません。 メンテナンスのフェーズのみならず、開発・設計から一連のライフサイクルを管理できる所に違いがあります。 このため、対象分野が異なります。

ENN 「Unifier」は、CADによる設計情報を取り込むことも可能なのですか。

Haddad 「Unifier」には、コストコントロールだけではなく、プロジェクトデリバリーを支援する機能も付いていますが、CADデータを保存できるドキュメントマネジメント機能も持っています。 この中のビューア機能ではCADデータを含めて200種類くらいのフォーマットをサポートしていますから、プロジェクトで発生する、すべてのドキュメントの管理も可能です。

さらに、プロジェクトデリバリー機能では、CADデータにビジネスプロセス自体を組み込むことも可能です。 つまり、ドキュメントのレビューなどのワークフローをシステムに組み込んで自動化する機能です。 これにより、実際のプロジェクトで、エンジニアやコンサルタントが、何らかのドキュメントを申請して、オーナーやゼネコンがレビューして、手を入れてパブリッシュする一連のプロセスを「Unifier」上で実装できます。

ENN 「Unifier」の一連の機能は、産業界の要望に応えたものなのですか。

Haddad 産業界側のニーズに対応する形で、これら一連のソリューションが普及しています。 多くの企業ではいまだに、古いツールやエクセルシートが管理に使われていたり、メールのやり取りや、紙ベースで行われていることもあります。 こうした企業では、報告がしっかりとしたデータがリアルタイムで上がってこない、可視化ができないなどの問題があります。そもそも、データが一元管理されていませんから、ベンチマークも分析もできません。

こうしたことで、大企業でも困っていらっしゃるケースがありますから、「Unifier」のニーズは高まっています。


「Primavera Unifier」を日本語化

ENN 今後は、どのような機能を開発されていきますか。

Haddad 今後の開発については、会社の規定上、詳細をお話できませんが、Skier社の買収により「Unifier」を獲得して以来、「Unifier」と「Primavera P6」とのシームレスな連携に力を入れてきました。 最近、「Unifier 15.1」というバージョンをリリースしましたが、新たな、「Unifier」から「Primavera P6」にシームレスに連携できる機能が追加されました。今後も、「Unifier」と「Primavera P6」がシームレスに連携できるような方向で開発を進めていく予定です。

また最近、「Primavera Analytics」というソリューションをリリースしました。このソリューションは、「Primavera P6」と「Unifier」の双方に被さる形での分析を可能にしますから、一つで両方のデータ領域をカバーするビジネス・インテリジェンスを提供します

ENN 「Primavera P6」と「Unifier」の統合システムは、どういったユーザーに納入されているのですか。

Haddad オイル&ガスや発電事業者に加え、プラント建設などのオーナー側にも入っています。 プロジェクトのオーナーが、サマリーレベルの報告やマイルストーンの管理にお使いになっています。

ENN 日本市場については、どのような期待をお持ちですか。

Haddad 日本市場には、多くのチャンスがあると考えています。 これまで、なかなかうまく市場にアプローチできなかったのですが、その大きな理由は「Unifier」が日本語化されていなかったためです。 「Unifier」はクラウドで提供されますが、日本のお客様の要件にも柔軟に対応できます。 特別な開発作業をせず、構成の設定でビジネスプロセスを変更したり、作ることもできます。

このため、導入しやすいという利点があります。 「Unifier」は、日本のお客様にもマッチできるソリューションだと確信しています。

ENN ありがとうございました。



















㈱重化学工業通信社
 

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