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「CONNECT Edition」は、ベントレーの歴史の第3章
 150年後にも互換性を維持する技術とは何か
         2015.8.18

今年、創業30年の節目を迎えたベントレー・システムズ。このタイミングでリリースされた「CONNECT Edition」を、創業者で現在もCTOを務めるキース・ベントレー氏は「ベントレーの歴史の第3章」と呼んだ。「ユーザのデータを時代に関係なく活用する」を主テーマに取り組んできた、ベントレー・システムズだが、150年後にも現在のデータを活用する試みに挑戦しようとしている。
「CONNECT Edition」について、ベントレー・システムズ上級副社長のジョージ・チャーチ氏とデイレクタのアンマリー・ウォルタース氏に聞いた。


ベントレーの歴史の第3章

ENN 「CONNECT Edition」をリリースした意義をどのようにお考えですか?

Church
 
  ジョージ・チャーチ
(Georgi Charch)氏
  Bentley CONNECT LEARN services 部門上級副社長。

1986年にベントレー・システムズ入社。ベントレーのグローバルプロフェッショナルサービスなどで活躍、ProjectWiseを開発した「Work Place System Solutions 」の社長などを歴任。
当社の創業者である、キース・ベントレーは「CONNECT Edition」について、「ベントレー・システムズの歴史の第3章が始まる」と言っているのですが、この新しいソリューションがお客様に提供する価値は非常に大きいものだと認識しています。

クラウドなどのテクノロジーが進化し、マイクロソフト社とのパートナーシップもソリューションに反映したいという意欲を持って開発しました。

アセットを活用しながらライフサイクルチームが連携して動けるということは、
非常に大きなことと捉えています。

ただ、新しい製品をリリースしたからと言って、以前のバージョンが使えなくなるようなことはありません。

同じ形態のファイルを使用できますし、
以前のバージョンである「MicroStation V8i」と
「CONNECT Edition」を同一プロジェクトで、
並列に扱うことができます。

産業界のユーザの中には、原子力発電所のように長期間に渡って使用するインフラ設備をライフサイクルに渡って見ているケースもあります。こうしたユーザとともに、可能性を追求したいと考えています。

Walters
 
アンマリー・ウォルタース
(Anne-Marie Walters)氏
グローバル・インダストリ・プロセス、オフショア、天然資源分野を担当するベントレー・システムズのインダストリ・マーケティング・デイレクタ。
「CONNECT Edition」では、「必要な物を、必要な時に」というコンセプトで製品を提供したいと考えました。これまで、製品の機能は向上しているのに、その機能の10%程度しか使用していないユーザがいらっしゃいました。

そこで、当社の「セレクトライセンス」という課金の仕組みを設けました。この仕組みを活用すれば、1時間ごとに使用しているアプリケーションを測定できます。この機能を活用すれば、アプリケーションの使用状況をモニターできますから、ソフトのどの機能が使用されたかを知ることができます。

これにより、どのソフトをどのような目的で使用したかも分かります。こうした対応を行っているのは、ソフトベンダーでは、当社だけだと思います。

ENN 「CONNECT Edition」の強みは何でしょうか。

Church セレクトサーバを通じて、製品情報を得て、その情報からベストプラクティスを掌握できることです。「ベストプラクティスを教えてほしい」という声はユーザから寄せられていますが、これらを提供するのが当社の役割と思います。

ここで情報を共有するうえで、重要なのがクラウドの存在です。クラウドによって、データ活用が非常に幅広くなりました。当社には、様々なデータがありますから、色々なデータを使った形でのリコメンデーションを上げることができます。

さらにパーソナルダッシュボードを使えば、より繊細なリコメンデーションを提供できます。ただ、当社はユーザに対して「クラウドに移行してくれ」とは言っていません。クラウドもオンプレミスでも受け入れる予定です。



150年後にも互換性を維持

ENN 従来、ベントレー・システムズは「モデルをいかに作成するか」をテーマに取り組まれてきたと思いますが、最近では「モデルをいかに活用するか」にフォーカスしています。この経緯についてお話ください。

Church 当社は、設計にフォーカスしながら事業をスタートさせましたが、その後、解析にまで対象領域を広げました。その結果、ビジネスの半分はエンジニアリング企業、残りの半分はオーナー・オペレータをそれぞれ向いて仕事をするようになりました。

Walters エンジニアリング企業、オーナー・オペレータとも、要求は変わってきています。どちらのお客様も「既存のプラントを検証したい」という意向が強くなっています。「プラントの余寿命を測定したい」という意向が、大きなビジネスドライバーになっています。

最近のお客様の要望に中には、「構造物を5年毎に、レーザスキャニングデータで評価したい」というものもあります。この状況を見て、2011年11月に3次元のスキャニングデータを解析する「Pointools」を買収しました。

ENN 今年、ベントレーは「Acute3D」や「Amulet」といった、設備の維持管理ソリューションを買収により獲得していますが、その狙いは何ですか。

Walters 当社は元々、設計にフォーカスしており、ここでは新たに建設されるものを対象にしていました。しかし、世界の傾向は変わっており、最近のオーナー・オペレータは、新規の建設だけではなく、既存のアセットの解析を求めています。

理由は、解析することで、現在のアセットを最大限に活用するためです。「Acute3D」は「as-built」「as-is」を対象にしていますが、「Amulet」は既存の運用条件や天気情報を取り込むことで、より良い意思決定を支援します。

当社の大前提は「ユーザのデータを時代に関係なく活用すること」です。今年創業30年を迎えましたが、この大原則を30年間、守ってきました。これを実現するためには、互換性(コンパチビリティ)が担保されなくてはなりません。

創業者のキース・ベントレーが「自分には心配事がある。それは、今後、コンパチビリティを維持するには、どうしたらよいかということだ」と言っています。今後、150年間、互換性を維持することはたいへんなことだと思いますが、この発想が当社の原点です。

ENN ありがとうございました。






















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