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アヴィバ、「E3D」最新バージョンでBIMに対応
ユーザの要望に応じ、IFCフォーマットと互換
        2016.10.17

プラントのライフサイクルに対応した各種ソリューションを提供しているアヴィバ。そのアヴィバが、いよいよ今年第4四半期に発売する「E3D」の最新バージョン「2.1」でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に対応する。ユーザの要望に応じて、BIMに対応するIFCフォーマットに対応。これにより、「AutoDesk Revit」をはじめとするBIM系の多くのソフトによるデータを取り込める。「E3D」は新たな進化形を示した。

かつて、CADはきれいな図面を描くためのツールだった。しかし、3次元化が進み、そのモデルが属性情報を持つようになると、CADデータ相互の互換性やデータ共有を可能にするソリューションが求められるようになった。

また最近は、CADをクラウド環境で使用するケースが増加している。クラウド環境では、データはより密接につながりやすくなり、データ共有も容易になった。

こんな時代に、アヴィバが近く発売する「E3D」の最新バージョン「2.1」は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のフォーマットに対応するなど、最新のテクノロジーを最大限に活用しながら、時代の要請に応えるソリューションに仕上がった。



設計・施工一体化を意識したBIM

アヴィバはこれまで、原子力、発電、製紙、化学、鉱業などの各プラントの設計に使用される3次元CADを開発、発売してきた。このほど発売された「AVEVA E3D 2.1」は、BIMに用に開発されたIFCフォーマットに対応するものだ。

アヴィバは、初めてBIMに対応するが、その意義は、他のCADベンダーがBIMに対応してきたのとは、別の意味がある。

アヴィバは1967年に英国のケンブリッジ大学で創業した。1976年には、プラント設計用CADとして、インターグラフの「PDS」と双璧を成す「PDMS」を開発した。「PDMS」は、プラント設計用のCADとして普及し、全世界のユーザ数は3,500社を超える。わが国のプラント業界でも、多く使われている。

アヴィバは以後、40年に渡り、テクノロジーの進化と時代の要請に対応しながら、設備のライフサイクルをカバーする製品群を開発し、設備のライフサイクルをカバーするようになった。「デジタルアセット」と呼ばれる製品群は、「E3D(Everything 3D)」と呼ばれる製品により、単一データベース構造で、データの再利用性を向上させたが、今回のBIMへの対応は、設備情報を主体に扱ってきたアヴィバの一つの進化形である。

アヴィバは英国ケンブリッジで生まれたCADベンダーだが、英国はBIM先進国と言って良い。2016年4月には、公共の建設プロジェクトにおいて、BIMの適用を義務付け、これに対してアヴィバもBIMを「設計の初期で周知を集める仕組み」と定義づけた。この定義づけは、プラントの設計の初期段階で、その後の設計・施工段階で変更や手戻りの発生を防ぐ効果もある「フロント・ローディング」と同義だ。

 IFCモデル外観

アヴィバはこの段階で、①顧客の意図の正確な把握、②情報の一元化による多数の協力会社との作業の精度向上、③各設計・建設フェーズでの積算見積の精度向上、④設備のライフサイクル設計の考慮、⑤設備情報の引き渡しの革新、を行う。

わが国では、「BIM」と言われると、建築・建設の設計においてITを使って行うくらいの意味にしか捉えられていないのではないか。しかし、プラントなどの設備設計のためのCADを提供してきたアヴィバは、フロント・ローディングの重要性を踏まえつつ、設計データをライフサイクルに渡って活用することを視野に入れたソリューション開発に力を入れてきた。プラントのライフサイクルを対象としたソリューションを提供してきたアヴィバは、BIMにもその志向を取り入れている。

しかもアヴィバは最近の建設工事契約が、施主、設計者、施工者、ベンダーが一体となって進めるように変化したと認識している。

建設工事契約はこれまで、設計と施工が分離され、施主が提供する設計に従って、施工者が協力業者やベンダーを使って建設されてきた。ところが、最近は施主、設計者、施工者が一体的に進めるケースが増えてきた。その目的はリスクの低減だが、アヴィバは「リーン・コンストラクション」というコンセプトを打ち出し、そのトレンドに対応した。

最新バージョンの「AVEVA E3D 2.1」では、「意匠設計用CAD」「構造設計用CAD」「設備設計用CAD」「積算・調達」「施工シミュレーション」「クラッシュ・デテクション」「ヴィジュアライゼーション」「シミュレーション」の各機能が同一プラットフォームで実現できるようになった。

すでに、アヴィバは「構造設計用CAD」については、「AVEVABocadソリューション」で対応しているが、今回の「AVEVA E3 DIFC 2.1」では、建築設計用CADのフォーマット「IFC」に対応した。


既存ユーザの要望に応じたBIM

「I F C 」とは、「Industry Foundation Class」のことで、欧米のAEC(アーキテクチャー・エンジニアリング&コンストラクション)企業とソフトウェア企業の協力により、業界のソフトウェア間の相互運用を支援するために設立された、International Alliance for Interoperabilityにより最初に開発された。

これまで、アヴィバは、原子力、発電、製紙、化学、鉱業のプラント向けに3D設計製品用のソリューションを提供してきた。今回、IFCフォーマットに対応するようになった背景には、既存のユーザからの「データ統合のために、BIMに対応してほしい」という要望があったためだ。

 鉄筋モデルとIFC Explorer

プラントの設計においても、建屋、鉄骨構造物、空調ダクトなどの設計を伴うことは少なくない。こうしたユーザがBIM関連のデータを含めた一元化を求めた。こうした要望に応える形でIFCフォーマットに対応し、BIM関連の設計システムとの連携が可能になった。これに伴い「Autodesk Revit」などのビルディング設計/AECシステムとの互換性が確保され、データを一元的に扱えるようになった。

アヴィバは、「AVEVA E3D 2.1 」の開発について、2つのフェーズを予定している。「フェーズ1」では、「E3D」へのIFCデータの取り込み、「フェーズ2」では、「E3D」からのIFCデータの出力だ。「フェーズ1」については、すでに進行中で、近く、2016年の第4四半期にリリースされる。「フェーズ2」については、「フェーズ1」終了後に開始予定で、リリース予定やスコープは現在、未定だ。

IFCデータ入力の機能は、次のバージョンアップとなる「AVEVA E3D 2.1」のFixリリースとしてインストールされる。取り込まれたデータは「AVEVA E3D」「AVEVA PDMS」「AVEVA Outfitting」で、視覚化/図面化/クラッシュチェックが可能になる。

これにより、サードパーティのビルディング設計システムと、マルチディシプリン設計環境の効果的なコーディネートが可能になる。同時に、アヴィバの基本言語(PML)と親和性のあるデータにより、コンフィギュレーション、カスタマイズも可能だ。

 
  IFCのインポートは容易
これまでにアヴィバでは、IFCデータの取込みも検証している。検証済みデータは「Archi CAD 」「Autodesk Revit」「Autodesk Civil 3D 」「Magi CAD」「Rebro(日本)」「SciaS caffolding」「Solod Works」「Tekla」だ。

「AVEA E3D」がBIM関連データを取り込むことが可能になることで、設計の生産性はいっそう向上する。







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