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アヴィバ、プロジェクト契約管理ソフト「AVEVA ProCon」を本格販売
有力オーナ・オペレータが使用、プロジェクト効率化・コスト削減に効果
                                             2016.12.22

アヴィバは2015 年1月に買収した「8OVER8 LIMITED」が開発したプロジェクト契約管理ソフト「AVEVA ProCon」の国内での販売を本格化する。これまで、シェル、BPなどの石油メジャーをはじめ、有力オーナ・オペレータが活用してきたソフトだが、今後は、アヴィバが長年の関係を構築しているEPCコントラクターに積極的に売り込む。チェンジオーダーの獲得に頭を悩ませるEPCコントラクターが多い中で、「AVEVA ProCon」を的確に活用すれば、チェンジに関わるトラブルを回避することもできる。「AVEVA ProCon」には高い期待がある。

アヴィバが2015年1月に「8OVER8 LIMITED」(エイト・オーバー・エイト・リミテッド)の買収により獲得したプロジェクト契約のライフサイクル管理ソフト「ProCon」は、大規模プロジェクトを手掛ける世界有数のオーナ・オペレータにより活用されてきたソフトウェアだ。アヴィバの買収に伴い製品名は「AVEVA ProCon」となったが、アヴィバが持つ顧客はEPCコントラクターやサブコンが多い。今後は、オーナ・オペレータに加え、EPCやサブコンへの売込が強化される。


有力オーナ・オペレータに普及

ProCon」を開発した「8OVER8 LIMITED」は、2000年に英国の北アイルランドの小都市、デリーで創業した企業だ。「ProCon」のユーザには、シェル、BP、シェブロンに加え、国際石油帝石(INPEX)など、大型のLNGプラントを稼働するオーナ・オペレータが名を連ねる。特に、シェルは大型FLNGプラント建設プロジェクトである「プレリュード」で、「ProCon」を活用した。

ProCon」は、プロジェク
トの契約管理をプロジェクトのライフサイクルに渡って行い、その間に発生する変更を管理、プロジェクトコストについてもオーバーバジェットを抑制できる。またオーナ・オペレータとEPCコントラクターのコミュニケーションの悪化によって引き起こされるクレームの発生も最低限に抑えられる。

これまでにもシェルがオーナ・オペレータとして実施したプロジェクトで「ゼロクレーム」が達成されたこともある。このプロジェクトでは、シェルが予算を5%下回るコストでプロジェクトを完工した。

 
  「ProCon」は大規模プロジェクトの
契約管理で活躍する
また鉱山開発で有名な、オーストラリアのBHPビリトン社は最近、南アフリカとカナダのプロジェクトで「ProCon」を使った。BHPビリトンは、契約する以前の入札の準備から「ProCon」を使い、KPI(キー・パフォーマンス・インディケータ:重要業績評価指標)アナリシスを行い、プロジェクトの契約リスクを軽減した。

契約時には、オーナ側にもリスクがあるが、「ProCon」でそのリスクを最小化した。プレアワードとその後のプロセスを「ProCon」により、すべて管理。契約のための交渉過程にも「ProCon」を使い、交渉内容に伴うコスト的な影響を的確に把握しながら、交渉に役立てた。

ProCon」は複数の大型プロジェクトを発注する有力オーナ・オペレータにとっては、プロジェクトを管理するうえで、無くてはならないソフトだ。


契約内容をダッシュボードにリストアップ

「ProCon」では、プロジェクトに関わる契約すべてがダッシュボードにリストアップされる。EPCコントラクターは契約したその日から、ダッシュボード上で自分たちがやらなければならない仕事が分かる。つまり、コントラクトの「見える化」が可能で、プロジェクト関係者が情報共有できる。

この情報共有も、オーナ、EPCコントラクター、サブコンといった立場に応じた設定により、レイヤーを使った表示が可能だ。コントラクトの内容には、オーナとEPCコントラクターだけが情報を共有し、サブコンには見せられない情報もある。またEPCコントラクターとサブコンが情報を共有し、オーナには見せられない情報もある。こうした情報は、レイヤーによりアクセス権限を設定し、情報管理できる。

またプロジェクト関係者がコミュニケーションを取るためのメール機能も持っており、「ProCon」のメールを活用すれば、そのメールの整理が可能だ。関連情報を紐づけ、システム内部に点在している情報を探し出して、プロジェクトのライフサイクルの必要な場所にその情報を提示できる。

さらに、プロジェクト期間中に、お金の出し入れが伴う時には、「ProCon」のコミュニケーションポータルを使って、スケジュールを示したうえで、その取引内容をリンクさせながら議論ができる。こうした機能を活用することで、プロジェクトの全体像を把握でき、関係者が同じ情報を確認可能だ。これらの機能により、ミスを減らすことができる。

もう一つ、「ProCon」には見逃せない機能がある。

過去のヒストリーをトラッキングできる仕組みがあって、コスト変更が3年後に問題になった時に、3年前にさかのぼって、時系列を含めて、確認できる。当時の契約やそれに伴う仕事の内容が分かるため、紛争の解決に役立つ。

こうした機能が無くても、時系列をさかのぼることは可能だが、これを実際に行うのは、時間も手間もかかり、大変なことだ。この点、「ProCon」を使えば容易にできる。また変更のルールを決めて設定しておけば、それに応じたコストが決まりやすい。

EPCコントラクターは、変更があったことを証明するために、クォンティティ・サーベイヤーを雇い、契約をさかのぼって、変更の確認を行うが、「ProCon」で契約を管理しておけば、変更を証明するために、クォンティティ・サーベイヤーや弁護士を雇う必要がない。この点でもコスト削減が可能になる。

「ProCon」は、企業の基幹システムであるSAPやオラクルEBSなどとの連携も可能で、プロジェクトの管理内容と企業の業績に反映しやすい。

 変更管理ディスプレイ

 ダッシュボード事例

 契約内容をリストアップするダッシュボード


国内でEPCコントラクターに売込

2015年1月、アヴィバが「8OVER8」を買収したのに伴い、アヴィバが従来のエンジニアリングIT関連製品の販売でEPCコントラクターと取引関係があることから、今後はEPCコントラクターにも積極的に売り込む。とはいうものの、EPCコントラクターの有力オーナ・オペレータが、「ProCon」を活用しているため、わが国のEPCコントラクターでも、千代田化工建設はすでに「ProCon」を活用した経験がある。

「チェンジが取れない」「変更を客が認めてくれない」という声を、EPCコントラクターから聞くことは多い。たしかに、変更は、EPCコントラクターが一方的に思っているだけでは認められない。契約までさかのぼって、論理的に証明されなければならない。こうした問題を未然に防ぐためにも「ProCon」を活用する意義はある。

これまで、変更を認めさせるために、クオンティティ・サーベイヤーや弁護士を雇っていたが、そのコストも不要になる。

アヴィバは最近、日本国内で「ProCon」の販売を本格的に開始したが、EPCコントラクターでも、海外プロジェクトを多く手掛けるEPCコントラクターからの関心は高いという。

契約管理を的確に、低コストで実施するうえで「ProCon」は不可欠なソフトだ。 







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