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富士電機、設備診断サービスを本格的に展開              2016.12.22
対象設備は、発電・変電・ユーティリティ・プラントまで幅広く対応

わが国の大型装置には高経年設備が少なくない。これら設備に対して、適切な保全を行うには、設備の状況を知ったうえで、適切な保全を行う必要がある。これを実現するうえで、重要な役割を果たすのが設備診断だ。富士電機は、この設備診断サービスを発電所・変電所・ユーティリティ設備のほか、各種プラントに展開している。そして最近では、クラウド型の設備保全サービスも手掛けている。適切な保全を実現する適切な診断。富士電機の設備診断サービスは設備保全に欠くことはできない重要な役割を担っている。

設備保全には、予防保全、事後保全のほか、設備の状況に応じた適切な保全を行うCBM(コンディション・ベースド・メンテナンス)などの方法がある。

それぞれの設備は、停止した場合の生産や経営に与える影響を考慮したうえで、適切な保全方法が取られる必要がある。

「適切な保全」を行ううえで、まず、求められるのが、対象設備がどのような状態にあるか知ることだ。そのために、富士電機は「プラント設備診断サービス」により「適切な保全」の提案を行っている。

 富士電機のプラント設備診断サービス


幅広い対象設備

富士電機の「プラント設備診断サービス」は、発電設備、変電設備。工場(プラント)の生産設備からユーティリティ設備に至るまで幅広い領域をカバーしている。

発電プラントや、鉄鋼、石油・化学などの素材産業プラントには、予期せぬ設備の停止が莫大な損失を引き起こす可能性があるものが多く存在する。これらユーザーに対して、適切な保全を提案して、生産性の向上を視野に入れた設備診断を行うのがサービスの目的だ。


稼働停止せずに診断

富士電機の診断サービスの中には、設備の稼働を停止せずに、診断が可能なサービスも多い。

「高圧回転機オンライン部分放電診断サービス」(ROPAS:Rotating machine Online PDAcquisition System)は、高圧回転機の固定子コイルの部分放電を測定し、巻線の絶縁劣化を診断する。設備停止中には検出できない、スロット放電、相関放電、スパーク放電も判定する。放電状況の傾向監視によって、早期に絶縁劣化の兆候を検出することができる。

「放射透過式配管診断装置」は、非接触・非破壊で配管の様々な状態を診断できる。配管を透過する放射線の減衰を利用して、小径配管から大口径配管の各種状態監視が、屋内・屋外・およびプラント運転中に非接触・非破壊での診断が可能だ。また検出器と計測部間のデータ通信には、Bluetoothが採用されている。

「クラウド型蓄電池診断サービス」は、運用中にセル1つ1つの「電圧」「内部抵抗」「温度」を継
続的に監視することで、バッテリーの特性変化を把握する。ITインフラの安定稼働を停電から守るUPS(無停電電源装置)や直流電源装置は、接続されたバッテリーが健全であることが前提になる。この方法によりUPSに使用される蓄電池の経年変化を継続的に測定・監視することで、蓄電池の異常によるUPSシステム障害のリスクを軽減する。また、遠隔監視により日常保守点検が省力化され、メンテナンスコストの低減が図れる。

このように、「適切な保全」のための診断サービスを行うために、富士電機ではクラウド環境によるサービスが提供されている。


クラウドも活用

クラウド環境で提供される診断サービスの一つに「油入変圧器の高精度寿命診断サービス」がある。このサービスは、ユーザーが持つ「更新のための検討開始時期を知りたい」「寿命まで使い切りたい」という要望に適切に応えるものだ。

油入変圧器の場合、変圧器のコイルに使用される絶縁紙の劣化度合を診断するのが適切な更新時期を知るためのポイントになる。その劣化度は油中のフルフラール量を分析することで推定することが一般的であるが、余寿命の推定幅が広いという難点がある。富士電機は、フルフラール分析に加え、油中ガス分析、油特性調査、稼働年数などの複合的な情報を、構造化ニューラルネットワークによる独自手法で分析する。これにより従来方式では15年であった平均予測幅が3年となり、高精度に余寿命を予測することが可能になった。

富士電機は2016年3月末までに、1,376台の変圧器を診断している。(うち、約30%は他社メーカーの変圧器)またこの診断サービスは2009年に、日本プラントメンテナンス協会の「PM優秀製品賞開発賞」を受賞している。

「無線式回転機振動監視システム」(Wiserot:Fuji Wirelesssimple Diagnosite System for Rotaring Machine Vibration)もクラウド対応した診断サービスだ。

Wiserot(ワイズロット)は、業界初の特定小電力無線を利用した生産ライン設備の「機械振動」と「ベアリング振動」を定期的に計測し、傾向を管理することで、傾向的に発生する故障を未然に防ぐことができる。対象設備は、メーカーを問わず、モータ、ファン、ポンプ、ブロワー、ロール設備などである。

EU、インド、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンなど海外(グローバル無線)対応しており、海外、国内ともに防爆に対応している。

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富士電機は、富士通の提供するクラウド環境を利用した設備診断サービスを提供しているが、今後もクラウドに対応できる診断サービスメニューを拡充する。クラウド上では、一つのプラットフォームで、多くの診断データを乗せることができる。これにより、従来は不可能だった、ビッグデータを活用した診断も可能になる。

さらに、設備の保全だけでなく、稼働状況、エネルギー利用状況をクラウド環境で統合的に管理する「総合設備管理サービス」を展開している。3つの管理を連携させることで、プラント設備の「安定稼働」、「エネルギー運用効率化(省エネ)」、「生産の効率化・高品質化」を総合的にサポートする。







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