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 2017.6.19
 ベントレー・システムズ シニアバイスプレジデント Santanu Das 氏
 一貫したソリューションで水処理設備のライフサイクルをサポート
 「ConnectEdition」で新たな価値を創造、次のテーマは「予知」

ベントレー・システムズが2年前に実用化した「ConnectEdition」。これにより、クラウド環境で設備の現状が有機的につながるようになり、リアルな世界に、新たな価値が付加されるようになった。このソリューションを水処理設備のライフサイクルに活かせば、リアルな設備管理が可能になる。さらに、リアリティ・モデリング・ソリューションである「ContextCapture」の活用により、低コストでのライフサイクル管理にも新たな道が広がる。
ベントレーで「デザイン・モデリング」を担当するシニアバイスプレジデント、Santanu Das氏に水処理設備のライフサイクルをサポートするソリューションを中心に聞いた。


Santanu Das(サンタヌ・ダス)氏

2005年、リサーチ・エンジニアーズ・インターナショナル社買収とともに、ベントレー・システムズに入社。2016年、設計モデリング担当のシニアバイスプレジデントに任命され、ビル、プラント、電気、土木およびリアリティ・モデリングアプリケーションの、グローバルセールス、マーケティング、開発、サービスを担当している。ベントレーに入社後は、設計・シミュレーション、構造・ビル、構造グループのバイスプレジデントを歴任した。南カリフォルニア大学で土木工学の学士号、マサチューセッツ工科大学で土木工学の修士号を取得している。





















一貫したソリューションで水処理設備のライフサイクルをサポート

ENN ベントレーのソリューションが海外の水処理設備のライフサイクルに使用されています。どういった点に特徴があるのでしょうか。

Santanu 水処理関連設備のソリューションについては、3つの問題があります。

一つ目は、インターオペラビリティ(相互互換性)が不足しているということです。メカニカル、エレクトリカル、構造など、各プロセスの業務間の連携がシェアされていないのが実態です。

二つ目は、現在の水処理関連のプロジェクトの90%がブラウンフィールド案件であるにもかかわらず、現状の把握がマニュアルで行われていることです。2次元や3次元のモデルを起こすのも、マニュアルで入力されているため、整合性が取れていません。

三つ目は、オペレーション&メンテナンス(O&M)の問題です。実際に、アセット管理がマニュアルであるうえに古いため、O&Mが属人的に行われており、不正確です。仮に、IoTによる各種インディケータがあって、自動的にビッグデータに送信する仕組みがあれば、自動でオペレーション予測ができ、効率的なメンテナンスが可能になります。結果的に、これが改善につながります。

ENN ブラウンフィールド案件では、御社のリアリティ・モデリング・ソリューションである「ContextCapture」が有効と思いますが。

Santanu 3次元レーザースキャニングにより得られる点群データでは、データが大きくなりすぎたり、モデルの作成にコストがかかるという問題がありました。しかし、「ContextCapture」の場合、低コストでデータを取得でき、データも扱いやすく、パワフルです。5年後には、1/3ほどのリアリティモデリングデータの作成に「ContextCapture」が使用されるようになると見ています。

「ContextCapture」は現在でも改良が続けられています。写真データが活用されているため、データが配管か、機器かを認識することができません。しかし、当社の技術により、分類できるようにして、認識が可能になるようにしています。これを実現できれば、配管だけを排除したり、サイズを変更できるようになります。当社はそこを目指しています。

ENN 日本国内の水処理設備は、人口減少に伴い3カ所の設備が2カ所に統合されるようなことが起こっています。また、ベテランオペレータのリタイヤに伴うオペレータの減少に伴い、設備の設計・建設からO&Mに至るまで、プラントメーカーに発注しています。こうした状況に対応するうえで、買収などにより、ライフサイクルを視野に入れたポートフォリオを作ってきたベントレーは優位性を発揮できますね。

Santanu ソリューションに一貫性がないと、全体的なソリューションをうまく構成することができません。この点をベントレーが全体を包括するようなソリューションを提供することで、ポートフォリオを作ってきました。


新たな価値を創造した「ConnectEdition」

ENN ベントレーは昨年1月、「デザイン・モデリング」「アナリシス・デベロップメント」「プロジェクト・デリバリー」「アセット・パフォーマンス」の4分野に組織を分けました。ただ、水処理設備のソリューションを見ても、テクノロジーは4分野にまたがっています。どのような組織で開発にあたるのですか。

Santanu 4事業部は縦割りの組織ですが、ソリューション単位で横串を刺して、4事業部が有機的に動けるような、ソリューション単位で働ける組織を作っています。

開発組織には、グローバルプロジェクトマネジャーが置かれ、ワークフローを統合的に活用することに責任を負っています。これまでに、「Aeosim Building Designer(ADB)」「OpenRoads」「OpenPlant」などのソリューションをいつリリースして、どのように統合的に扱うかを睨みながら、「ConnectEdition」の技術をどのようにかかわらせるかを統合的に考え、成果を上げるようにしています。

ENN クラウド環境でつなげることを実現した「ConnectEdition」の開発が様々なソリューションを生み出しています。

Santanu 2年前に「ConnectEdition」をリリースした後も、さらに最新のソリューションをリリースしています。今では、「OpenRoads」、ABDにも「ConnectEdition」のテクノロジーが活用されています。

ENN ベントレーは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に付加価値を付けることを重視していますが、このことの意味について教えてください。

Santanu 今使われているBIMは、レベル1と言えるもので、シンプルにジオメトリーを管理しているだけです。しかし、ベントレーが推奨しているのは、レベル2やレベル3のBIMです。ここでは、デザイン・モデリングやアナリティックモデリングといった、付加価値が提供されます。

ENN また「ContextCapture」は、空間情報をモデル化するのですから、非常に面白いソリューションですね。モデリングデータの無い設備のモデルを作れば、過去と未来をつなぐことになります。

Santanu 実際、「ContextCapture」は、設備のモデリングデータやマイニングのサイトのデータを取り込むのに使われていて、週単位で変化を追跡するのに使われています。

まさしく、過去と未来を数値的に比較することで、新しいソリューションを見出すことができます。すでに、こうしたソリューションを提供していますが、その使い方が重要になります。


次の開発テーマは予知

ENN 次の開発テーマは、何になりますか。

Santanu 現在、デザイン・モデリングやオペレーションに関するソリューションを提供し始めていますが、次には、リアルタイムに資産のモデリングとモニタリングを行うソリューションが必要だと考えています。これは予知分析(プレディクティブ・アナリシス)のソリューションを提供することになりますが、これを実現する時には、提携関係にある独シーメンス社と共同で同社のクラウドベースの産業用オープンIoTオペレーションシステム「MindSphere」と協力することになります。

さらにその次には、BIMのレベル3のソリューションとして、ファシリティの問題をいつでも察知するようなソリューションを提供することが必要になるでしょう。ここでは、同じリアルタイムですが、コスト、リスク、メンテナンスに関連する情報を出していきます。これにより、レベル2、レベル3に進んでいきます。

今年10月に、ベントレーは毎年実施しているカンファレンス「Year in Infrastructure 2017」をシンガポールで開催しますが、マルチディシプリンのコラボレーションにより、リアルタイムに違いをエンジニアに伝え、対応させるソリューションを紹介できるように、現在、準備を進めています。

ENN ありがとうございました。



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