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 2017.7.20
厳しい事業環境下でリブランドしたヘキサゴンPPM
グループとしてのシナジーに期待、インターグラフの製品名は維持

6月に、インターグラフPP&M(プロセス・パワー&マリン)が、ヘキサゴンPPMに社名変更された。

インターグラフが最大手の測定器メーカーであるヘキサゴンに買収されたのは2010年7月。以後、ヘキサゴンのほとんどの事業部がヘキサゴングループとして運営されてきたが、インターグラフのブランドはエンジニアリングソリューションの分野で、ユーザに深く浸透していたこともあって、そのまま維持されてきた。
 ヘキサゴンPPMロゴ

しかし3年前に戦略的に社名を変更する方針が示され、このほどインターグラフPP&MはヘキサゴンPPMにリブランドされた。

今後は、製品名にはインターグラフのブランド名を残しながら、ユーザ業界に浸透している優位性はそのまま事業に活かしつつ、ヘキサゴンの事業戦略の一環として、技術ノウハウが活用される。

厳しい事業環境下でのリブランド

リブランドされたばかりのヘキサゴンPPMだが、低水準の原油価格を背景にオイル&ガス分野の投資は停滞した中での新たなスタートになった。アジア大洋州地域の上級副社長であ
フランツ・クフナー 氏
る、フランツ・クフナー氏は最近の業績について「現在、原油価格はバレル当たり40ドル台の後半で推移しているが、ある時期には上昇することを期待している。しかし現時点のオイル&ガス分野では、大型投資が中断したり、後ろ倒しになり、オフショアアップストリームの事業ではネガティブな影響を受けている」と、最近の事業環境の厳しさを実感する。とはいうものの、「石油化学などのダウンストリームは、油価低迷により、投資が活発化している」と明るい一面も強調する。

しかし油化低迷に伴い、オイル&ガスプロジェクトの主力市場である産油国では、財政難から大型プロジェクトを具体化できない。このため、今後は比較的に少ない投資額で実施できる、改造や近代化などのブラウンフィールドプロジェクトが中心になることが予想される。このブラウンフィールドプロジェクトに威力を発揮しそうなのが、ヘキサゴンが持つ「デジタルツイン」技術だ。

「デジタルツイン」は、バーチャルとリアル、スキャニング結果とモデルを比較して、コンピュータ上の試算と現実の試算の両方を把握するもので、ブラウンフィールドプロジェクトでも効果的に活用されそうだ。

またヘキサゴンPPMは昨年、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)への取組を本格化した。ただ、BIMと言っても、建設のためのモデリングに取り組むのではない。自前のソリューションをデータマネジメントに活かすことを事業化した。

クフナー氏は「BIMについてはこの1年間、継続的に投資をしてきた。3Dスキャナを扱う、ライカ・ジオシステムズと協力して開発を行ってきた。建設業界はワールドワイドに好景気を継続しているので、重視している」と現状を語った。大きな成果が上がらないものの、その取組は継続的に行われている。

オイル&ガス分野が落ち込む中、その落ち込みを、インフラを扱う建設業界でいかに補うかがヘキサゴンPPMの当面の課題と言えるだろう。

ヘキサゴングループの総合力に期待

今後、ヘキサゴンPPMが注力するのは、ジオシステムと協力して進めているプロジェクトコントロールソリューション「EcoSys」の開発だ。

「EcoSys」は、PMS(プロジェクト・マネジメント・システム)のデファクトスタンダードと言われる「プリマベラ」をスピンアウトした人材が設立したが、ヘキサゴンPPMがこれを買収。複数のプロジェクトを横断した、コスト、スケジュール管理、為替変動の影響のシミュレーションを行うソリューションで、日本企業も数社がすでに導入している。この「EcoSys」では現在、3次元に時間軸を加えた4次元、さらにコスト軸を加えた5次元の開発をヘキサゴンPPMが支援している。

また今後は、ヘキサゴングループになったことの強みを十分に活かす。ヘキサゴングループでは売上高の12%を投資にあてているが、そこで、ロボティクス、VR、IoT、AIへのリサーチを行い、必要に応じて、買収も行う。クフナー氏は「8事業部門を横断したニーズをある程度、視野に入れて動き、同時にフィードバックをかけながら、効率的にIoTなどの技術を手に入れたい」と語り、ヘキサゴングループとしてのシナジーへ期待している。



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