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 2019.10.10
統合型エンジニアリングでオペレータにより接近したアヴィバ
プレスブリーフィングでは、ユーザーがDX導入の課題を議論

「Unified Engineering」を前面に打ち出したアヴィバ

 2018年3月の、シュナイダーエレクトリック社の産業用ソフトウェア部門との経営統合により、「UnifiedEngineering(統合型エンジニアリング)」を前面に打ち出した事業を展開するアヴィバ。

 今年8月には、「Unified EngineeringOperations Center Solution」をスマートシティなどのインフラやオイル・ガス・マイニング向けマネジメントのためのソリューションとして提供を始めた。

 また経営統合から18カ月を迎えた9月には、資産の最適化と操業における新たな価値を隅から隅まで提供できるポジションを獲得していると公表し、「AWS 2019」の開催期間中の9月17日には「プロジェクトの収益率を向上する統合型エンジニアリング・調達・建設向けソフトウェア」の提供を発表した。

 この統合型ソフトは、プロセス設計においては、上流のFEEDと下流の詳細設計を3Dベースで統合し、同時に設計・調達・建設のプロセスをリンクして合理化するというものだ。「AVEVA Enterprise」の Learning機能により、オペレータのスキルを迅速に習得でき、拡張現実機能により効率的なスタートアップ、シャットダウン、正常な運転、異常状態からの脱出が可能になる。

 このソリューションが開発されたことで「プラントの設計・建設・試運転などを行うエンジニアリング企業と、オーナーオペレーターとの関わり方が変わるだろう」と、クレイグ・ヘイマンCEOは力を込めた。


DX導入準備が整っている企業は5~8%

 「Unified Engineering」を前面に打ち出した事業を展開するアヴィバだが、カンファランス最終日に行われたプレスブリーフィングでは、米国の調査会社であるARCアドバイザリーグループのクレイグ・レズニック・シニアバイスプレジデントが司会を務めるパネルディスカッション「アヴィバの顧客にとっての、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か」が行われた。

プレスブリーフィングで行われたパネルディスカッション

 登壇したのは、ADNOC(アブダビ国営石油)、エンジニアリング企業の豪Worley(旧Worley Parsons)、そして世界最大の食品・飲料メーカーであるネスレの3社のデジタル部門の責任者だ。

 その中でARCのレズニック氏から「製造業の80%以上の企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいるが、その準備が整っているのは5~8%にすぎない」と調査結果を報告された。同時に「デジタルトランスフォーメーションは企業が今後、生き残るうえで欠くことのできないテーマだが、それを達成するための道のりは平坦なものではない」と指摘した。

 デジタルトランスフォーメーションの導入が遅れる要因は、企業文化や従業員のマインドが障壁となり、導入のための意思決定が迅速に行われないこと。

 壇上でADNOCのデジタル部門の責任者であるアブドル・ナッセル・アル・ムガイルビ・シニアバイスプレジデントは「われわれはオイル価格をコントロールできないが、コストはコントロールできる。ビジョンを持って『見える化』に取り組んでいる。これにより、非効率な部分が分かるようになり、改善につながった」と成果を語った。

 Worleyの統合型デジタルオペレーション部門のデーブ・メイキン・シニアバイスプレジデントは「マインドセットは難しいが、うまく行かないからといってトップダウンで進めるのは危険。従業員の声に耳を傾けながら、意思決定できれば、従業員はそれに従ってくれる」と語った。

 またネスレのグローバル・オペレーションズ・エクセレンスのティエリー・フライアント氏は「世界中で工場を稼働しているが、業界内には新しい会社が生まれており、競争が激しくなっている。その中で、デジタルトランスフォーメーションは大きな意味を持つようになるだろう。現在、取り組んでいるデジタルトランスフォーメーションは今後、3~5年で成果が上がるはず」と、その成果がすぐには上がらない点を強調した。

 デジタルトランスフォーメーションの必要性は、従業員も理解しているが、実際に製造現場で長年に渡って、現場で働いている。その間に培われた仕事の進め方をなかなか変えることができないのが実情のようだ。

 パネルディスカッションでは、パネラーが「Journey(旅路)」という用語を頻繁に使っていたのが印象的だった。

㈱重化学工業通信社
 

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