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【連 載】IFSが提供する企業向けプロジェクト管理と設備管理ソリューション
  第2回 ダイナミックな業務分析を実現するオペレーショナル・インテリジェ
      ンス・ツール
    IFSワールド コリン・ビーニー 2016.2.10

1. はじめに

当社は、「IFS Applications」に蓄積された業務データから、ビジネスの現状をより直感的に把握できるよう、複数の視覚化ツールを提供している。そのうちのひとつが、今回紹介するオペレーショナル・インテリジェンス・ツール「I F S エンタープライズ・オペレーショナル・インテリジェンス(IFS EOI)」だ。

「IFS Applications」と完全統合することで、アプリケーション内に蓄積された多岐にわたる企業情報を活用し、リアルタイムに業績を把握できる。

このツールが、いわゆるBIと異なるのは、経営的観点はもちろんのこと現場の業務レベルまで、役割ごとにそのパフォーマンスをモニターし、何をどう変えるとよりよいパフォーマンスにつながるかを、それぞれのレベルでシミュレーションできる点だ。


企業としての目標はひとつでも、それを達成するための業務・作業は、職責や部門によって異なる。達成率を評価する指標も当然異なる。IFS EOIは、ビジネスに関わる全ての業務をそれぞれの視点で支援する。次々と発生する課題に対応するために、継続的にビジネスモデルを改善することが可能だ。

 図1. IFS EOI の画面イメージ

このツールは、航空・防衛産業、運輸業、鉱業、エンジニアリング・建設、エネルギー・公益、公共事業、金融、ヘルスケア産業など大手グローバル企業で幅広く利用されている。代表的な顧客には、エミレーツ航空、チリ空軍、オランダ国防省と国家警察などがある。

ここでは、まず、IFS EOIの基本的な機能を解説し、続いて中国の欽州発電所での活用例を紹介する。


2-1.MAP-業務プロセスの詳細な見取り図を描く

このツールを導入するにあたり、まず始めに行う作業は、原材料の仕入れから顧客への納品、さらに、利害関係者に至るまでの全てのビジネスの流れと関連する組織を洗い出し、業務プロセスの詳細な見取り図「MAP」を描くことだ。この際、すでに稼働しているIFS Applicationsから、プロセスモデルをインポートすることも可能だ。

ビジネス戦略に基づき、このMAPに、達成すべき目標を、作業のパフォーマンス、財務、ガバナンス、リスク、コンプライアンスといった視点で設定する。目標は、経営層だけでなく、中間管理層や製造ラインに至るまで、あらゆる役割に対して、個別に設定できる。

 図2. 業務プロセスの見取り図「MAP」

関連するITシステムやその他のリソース、プロジェクト等をプロセスおよびビジネス戦略に関連付けし、MAPを作り上げる。この過程で、目標を実現するために、何を優先すべきかを決定していく。


2-2.Monitor-業務状況を視覚化しモニターする

業務が、MAPに通り実行されているかをモニターするためのツールが「ダッシュボード」だ。ダッシュボードは、IFS Applicationsおよびその他の情報ソースから、MAPで定義した個々の責任範囲に応じて、必要な情報のみを提供する。

これにより、各人は、リアルタイムかつ視覚的に業務状況を把握できる。業種別のテンプレートも用意されている。



2-3.Manage-想定外の事態を管理する

あらかじめ設定した範囲外の数値が確認されると、ダッシュボード上にアラームが表示される。これが、アクションのトリガーになる。対応すべき内容は業務ごとに当然異なるが、シミュレーション機能を利用し、リアルタイムに条件を変更しながら、ビジネスへの影響を確認することができる。意思決定を支援するのに有効なツールだ。

従来のB I ツールで、同様のシミュレーションを行うには、複数のデータシートから情報を取り込むために複雑な設定が必要だが、IFS EOIでは、想定シナリオに沿ったシミュレーションが、クリックひとつで可能だ。



3. 導入事例「SDIC QINZHOU POWER CO.,LTD」-中国の欽州発電所

当顧客は、27GWを発電できる設備を保有する中国でも有数の電力会社グループの1社で、広西チワン族自治区欽州市にある。同社は、設備管理の効率化を目的に、2004年に、IFS Applicationsの会計、設備管理、人事管理、サプライチェーン管理、在庫管理、燃料管理、プロジェクト管理、安全& 衛生管理の全機能を1年たらずで導入した。この規模の設備を擁する企業にしては、類を見ないほどの短期導入だった。

IFS Applicationsの本稼働後に、同社の発電所のひとつで、IFS EOIの導入を開始した。当初の主要な課題は、コストの可視化と発電量をリアルタイムに把握することだった。加えて、設備の信頼性向上、保全管理の業務の効率化、発電所の拡張プロジェクトのためのコスト分析もIFS EOI導入の要件としてあがっていた。MAPを作成し、結果として、30を超えるKPIと7種類のダッシュボードを導入した。

現在は、発電所全体としての採算性を見極めるために、発電量、原材料のコスト、販売価格、消費率を変動要素として、IFS EOIのシミュレーション機能を活用している。


5. まとめ

ビッグデータの活用が騒がれて久しいが、IFS Applications内のデータを企業内のビッグデータととらえると、IFS EOIがその活用法のひとつの解といえるだろう。IFS EOIは、基幹業務から集積されたデータに付加価値を与えるツールだ。基幹システム導入の際には、こういったツールの活用も検討されたい。

次回は、設備管理分野での当社のIoTへの取り組みを、実例を交えて紹介する。


 【問い合わせ】
  IFSジャパン(株) TEL:03-5419-7903
  E-mail:info.jp@ifsworld.com




       






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