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 価格重視に転じた、エンジニアリングITツール選び
 ハイエンド志向から適材適所へ、変わるユーザ志向
        2015.2.25

見直されるハイエンド志向


 今回のエンジニアリングITに関するアンケート結果で浮かび上がったのは、ハイエンドと呼ばれる企業がツールを見直し始めていることだ。

 Q2のP&IDソフトの使用状況に関する設問の回答で「AutoCAD P&ID」の使用が専業大手と総合重機で増加していることに象徴されるが、この数年、有力エンジニアリング企業はエンジニアリングITツールが適正に使用されているか、検討してきた。

 例えば、不要にハイエンド製品が使用されるなどの問題もある。 実際、インターグラフの「Smart 3D」の価格は700万円だが、オートデスクの「AutoCAD Plant 3D」のスイート製品はビュワーの「Autodesk Navisworks」などのソフトウェア込みで百万円強で購入できる。

 これだけの価格差があれば、「AutoCAD」で対応できる設計に、「Smart 3D」を使用する必要はない。 実際、千代田化工建設では、エンジニアリングITツールが適正に使用されているかがチェックされた。

 今回のアンケートで「AutoCAD P&ID」のシェアが伸びたが、その背景には、エンジニアリング企業やプラントメーカーに「適正なツールを使う」という意識が強く働いたと言える。



 かつては、互換性などの問題で、インターグラフ社の製品で一気通貫に仕事ができることが求められたが、最近はソフト間に互換性はないものの、エンジニアリングデータのマネジメントツールが開発され、普及している。 異なるフォーマットでも、同じ環境で、データをストレージでき、これを使えば、生産性を損なうことも少ない。 このため、安価なソフトを使いやすくなった。

 このことも、インターグラフ一辺倒で製品を揃えるのではなく、設計のレベルに応じて、最適なツールを使用して設計するように状況を変えて来たと言える。



 エンジニアリング企業は常にコスト競争に晒されている。 このため、不要にハイエンドのツールばかりを使用していると、無駄なコストが発生し、競争力を低下させる原因にもなりかねない。 そこで、必要に応じて、適正なツールを使うように、状況が変わってきたのだ。

 こうした厳しいコスト削減要求は、今回のアンケートにおけるベンダーへの要望にも反映されている。 低価格への要求が非常に強い。



 また今回のアンケートでは、Q10において、クラウド環境に関する設問を設けたが、「検討していない」という回答が過半を占めた。 たしかに、エンジニアリングITの分野において、クラウドはまだ普及しているとは言えない。 多くのエンジニアリング企業やプラントメーカーがセキュリティの問題を気にしていることもあれば、クラウドの扱えるデータ容量に限界があることも問題視されている。

 しかしロケーションフリーで仕事ができることのメリットや、この活用によるコストメリットを考えれば、利用価値はあるはずだ。

 特に、現在は使用を検討すらしていない中堅のエンジニアリング企業にとって、ツールを共有できるなどのメリットもある。 使用を検討するべきだ。



     


















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