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 2021.11.22
 ENN11月25日号 特集:「プラントライフサイクルをカバーする、エンジニアリングIT」
 [BentleySystems]
 シーメンスとの提携により開発された「PlantSight」でライフサイクルをカバー
 幅広いデータを獲得可能

 2016年に、米BentleySystems(ベントレーシステムズ)と独シーメンスの戦略的業務提携関係の締結が発表された時、提携により、どのようなソリューションが生み出されるのか、胸を躍らせたのを覚えている。

 この提携に伴い、両社は共同ソリューションの開発に5,000万ユーロを投資し、シーメンスは、当時は非上場だったベントレーの普通株7,000万ユーロ相当を取得した。開発への投資額が明確にされたうえに、シーメンスがベントレーの株式を取得する、資本・業務提携が結ばれたのである。こんな提携から生まれるソリューションへの期待に胸が高まった。

 ベントレーと言えば、長年に渡り、データの相互互換性の確保を重視した戦略により、新たなソリューションを買収により獲得するなど、独自に開発してきた。その結果、情報交換のためのコンテナである「i-model」により、異なるデータでもシームレスに連携できる仕組みを持つようになった。

 一方、シーメンスは、制御システムでは世界有数の実績を誇る総合電機メーカーだ。制御システムにより取得できるデータをソフトウェアがいかに生かすか、こうした興味があった。


エンジニアリングから制御システムまで幅広いデータを獲得可能

 その提携から生まれたソリューションが「PlantSight」だ。

「PlantSight」は、物理的なリアリティデータとエンジニアリングデータを同期して、運用状態を再現したデジタルツインを実現する。

 ベントレーでは、「多くの場合で、利用可能な資産データのうち、85%はまったく使われていない」としており、多くの情報がダークデータになってしまい、有効活用されていないと指摘している。

 「PlantSight」では、このダークデータをクリーンデータとして扱い、デジタルツインを生成するための有効な情報として活用している。

 「PlantSight」のカバー領域


 ここでモノを言うのが、ベントレーの「i-model」だが、このテクノロジーを活用することで、あらゆるフォーマットのエンジニアリングデータを取り込むことができる。

 AVEVAの「PDMS」や「E3D」、HEXAGON PPMの「Smart3D」のほか、AutoCAD社などの「.dwg」ファイルにも対応する。

「PlantSight」が取り込めるのは、3次元データモデルばかりではない。

 また、ベントレーは近年、「ContextCapture」によるリアリティモデリングに力を入れているが、デジタルカメラや3次元レーザスキャナ―により取得される情報から生成されたモデルにも対応できる。

 このソリューションを活用できれば、3Dモデルの情報を持たない設備についてもリアリティモデル情報を獲得して、活用できる。既設プラントのデータとして活用すれば、プラントの増設や改造時にも役立つ情報になりうる。

 またシーメンスはPLCなどの制御システムにおいては、世界的なメーカーだが、制御システムから得られるプラントデータも「PlantSight」は取り込める。

 まさしく「PlantSight」は、現時点で考えうるプラントのライフサイクルすべての情報を取り込むことが可能だ。

 一方「PlantSight」には、シーメンスが持つ「COMOS Walkinside」の機能が搭載されており、アバターを活用したヴユーイングや3Dシミュレーショントレーニングが可能だ。


品質と生産性向上を実現

「PlantSight」の活用により、既存設備の状態を掴み、情報を確認してギャップを知ることができる。これらにより、プラントの信頼性と資産パフォーマンスの改善が実現可能だ。

 プラントライフサイクルの全体情報を掴むことで、ユーザーはより良い結果のために、より多くの情報に基づいた意思決定を行うことができる。

「PlantSight」の活用により、隠れたプラント資産を発見でき、統合された信頼性とメンテナンスにおける効率向上が実現できる。

 また、これらを通じて、より迅速かつ協調的な意思決定ができ、信頼できるプラントデータへの高速アクセスが可能になる。

「PlantSight」の活用により、データ品質とセキュリティが改善され、より迅速な運用準備、情報への直接かつ簡単なアクセスが可能になり、共同意思決定の迅速化などにより、プラントにおける品質管理が確保できる。



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